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太陽光パネルの研究・開発 【後編】

2023.8.30

前編(7/31公開)では、既存の太陽光発電と進化系パネルによる新しい太陽光発電についてご紹介しました。

 

後編では、太陽光発電の研究や取り組み・開発についてご紹介いたします。

 

 

後編

 

 

1. 反射光を利用した両面発電

 

2. 太陽電池の発電効率を高める取り組み

 

3.有機系太陽電池

 

4.まとめ

 

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1.反射光を利用した両面発電

 

 

前編で紹介した夜間での太陽光発電以外に、両面発電の研究・開発も進んでいます。

 

≪一般的な太陽光パネル≫

一般的な太陽光パネルは、太陽電池の並んだセルストリングの裏面に樹脂バックシートを取り付け、

表面に封止材と光を通す強化ガラスを取り付けます。前回コラムで掲載しましたが、発電効率は低く、

設置場所も限られます。そのため、いかにして発電効率を上げるかがカギとなっています。

 

≪両面発電パネル

近年では、パネルの両面を活用した両面発電が普及してきました。

両面パネルの場合は、裏面も表面と同じく封止材と光を通す強化ガラスが取り付けられており、地面

からの反射光などを裏面から吸収し、発電します。

 

また、この両面発電パネルは垂直に設置することもできるため、フェンスなどへの設置も可能で、

地表が白いほど強い反射光が得られるため、積雪地帯や砂地での設置も可能です。

 

※両面パネルを設置した場合は、地面やパネルより下の位置にある壁などから反射された光を裏面のセルユニット

から吸収できます。そのため、設置場所の状況によっては、発電効率をアップさせることも可能です。

 

 

直達光:太陽からの直線の光

散乱光:物質に光があたったときにあちこちに反射される光

反射光:地面や、光が当たっている面から一定に跳ね返ってくる光

 

 

 

 

2.太陽電池の発電効率を高める取り組み

 

 

前編で、夜間ソーラーなど新たな発電形態について紹介してきましたが、後編では、太陽電池の

発電効率を向上させる取り組みも加速しています。

 

≪カメレオン発光体の応用≫

太陽光パネルに使用されているシリコン太陽電池に関する研究は、長い歴史の中で最終形態に

近づいており,その変換効率を劇的に向上させることは困難です。

そこで、北海道大学は2015年に、温度変化によって発光色が変わる「カメレオン発光体」の

技術を太陽電池に応用し、発電効率を向上させることに成功したと発表しました。

カメレオン発光体を含んだフィルムを従来型の太陽電池に貼ることで発電効率を向上させる

ことができます。さらに耐久性も向上(10年使用可能)することがわかりました。

※太陽電池は安全な次世代エネルギー源として,注目されています!

 

 

この研究は、火力発電や原子力発電と比べて発電効率が低いという太陽電池の課題改善に

大きく寄与すると期待されています。

 

 

 

 

3.有機系太陽電池

 

 

現在主流の太陽電池は、シリコンなどの無機物を利用するため製造工程のどこかで高温に

する必要や、真空装置を使う必要があります。しかしながら、常温・常圧で製造できれば、

その分コストダウンが可能になります。

 

そこで研究が進んでいるのが、有機物を用いた太陽電池です。光を吸収する色素と電解質の

層を持つ色素増感太陽電池や、『ペロブスカイト』と呼ばれる結晶構造を持つ材料を用いた

ペロブスカイト型太陽電池など様々な開発が進んでいます。

 

≪ペロブスカイト太陽電池≫

色素増感太陽電池は色素の可視光を吸収する作用を利用して発電する独立型電源です。

塗布や印刷技術で量産できることから低コスト化が期待できます。また、ゆがみに強く、

軽量化が可能であるので、これまでシリコン太陽電池では設置できない場所に設置でき

ることが期待されます。性能面でもすでに、シリコン太陽電池に匹敵するエネルギー

変換効率を達成しており、製造が比較的簡単で、低照度の光環境においても効率よく

発電できるとされています。また、無機物で構成された太陽電池よりも安価に量産

できると期待されているため、本格的な実用化に向け世界中で研究が進んでいます。

 

 

 

 

4.まとめ

 

 

太陽光発電の新たな展開として、夜間発電などの事例を紹介しました。

これらの新技術は省エネを導き、既に実用化が進む技術もある一方で、まだまだ

試作段階なのが現状です。太陽光発電の新技術(夜間発電や両面発電、カメレオン

発光体を使った太陽光パネル等)、世界中で使用可能になれば、昨今のエネルギー

問題に大きく反映されることが期待されます。